人間の知識がデータとして蓄積される「ナレッジデータベース」とは?

データ分析
「ナレッジデータベース」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。知識ベースとも呼ばれ、企業のイノベーションや生産性向上などに欠かせない存在でもあります。今回は、そのナレッジデータベースについて解説していきます。
ナレッジデータベースとは?
ナレッジデータベースとは、人間の「知識」をコンピュータ上に溜めこんだデータベースのことです。知識ベース(ナレッジベース)とも呼ばれており、検索によって知識を探し出すこともできます。インターネットで情報を探し出すのと同じように感じるかもしれませんが、ナレッジデータベースは基本的に企業内だけで使われるという特徴があります。
この「知識」とは、何のことを指すのでしょうか。具体的には、個人が持つ経験や知識、熟練スキルなどのことです。こういった個人のノウハウは暗黙知とも呼ばれ、従来は人間の頭の中にだけ存在していました。それをデータベースという形にしたのがナレッジデータベースというわけです。それでは、なぜこのような形にする必要があったのでしょうか。実は、ナレッジデータベースは「ナレッジマネジメント」のために存在する特殊なデータベースなのです。
ナレッジマネジメントとは?
ナレッジマネジメントとは、先ほど解説したナレッジデータベースを企業内で共有し、イノベーションや生産性向上につなげる管理手法のこと。従来は言葉による伝達が難しいとされていた「ベテランの知」を、組織内へと効率よく広げることによって企業は進化するという考え方です。
このナレッジマネジメントが誕生した背景には、時代の流れと技術の進歩が関係しています。
時代の流れとともに「知識の継承」が難しくなった
昔は終身雇用が当たり前だったということもあり、企業に長く勤めるなかで技術の継承が行われてきました。伝達が難しい「熟練者の勘」といったものも、長時間一緒に働いていれば自然と引き継がれていきます。
しかし、現在では雇用形態の多様化が進み、終身雇用制度は事実上崩壊しています。こうしたなかでベテランの知を継承していくには、知そのものをカタチとして残す必要がありました。
技術の進歩により「知識のデータ化」が可能に
知を形にするといっても、そう簡単にできるものではありません。しかしそれも昔の話。今日では、IT技術などの進歩により知識のデータ化が比較的容易に行えるようになりました。もちろんすべてをカバーしているわけではありませんが、AI(人工知能)や統計学の導入で賄える範囲はどんどん増えています。
ナレッジマネジメントの手法
そうして蓄積された知を、いかに利用するかがナレッジマネジメントです。実際にさまざまな企業でナレッジマネジメントが行われていますが、基本的には専用のツールが用いられます。そのツールもタイプによって手法が異なりますので、代表的なものをご紹介しましょう。
知的情報検索タイプ
知的情報検索タイプは、蓄積された知的情報を検索できるようにしたシステムです。社内情報の共有はもちろん、別の企業と一緒に共有できるツールがこれにあたります。また、世界中で生み出された膨大なデータを集約・提供しているサービスも存在します。
グループウェアタイプ
社内で行われるメールやチャットなどのコミュニケーションが共有できるタイプです。スケジュール管理も可能なので、グループに参加すれば「誰がどういう仕事をしているか」「どういうやりとりが行われているか」などがすぐ把握でき、プロジェクトの進行などに便利です。
ヘルプデスクタイプ
このタイプは、ヘルプデスクの改善に役立つツールやサービスです。社内の情報からFAQサイトを作成したり、改善点を見つけてヘルプデスクの運用に活かしたりします。
データマイニングツールタイプ
データマイニングとは、膨大なデータからパターンや相関関係を発見するツールのことです。蓄積されたデータを分析することで、経営判断や営業戦略に活かすことが可能。いわゆるBIツールを利用したナレッジマネジメントだといえます。
ナレッジデータは会社の財産
このようにナレッジデータベースは、ビジネスにおけるさまざまな場面で利用されています。社内で行われる小さなやりとりひとつとっても、大幅に業務を改善できるヒントにつながるかもしれません。そういった意味で、ナレッジデータは会社の大切な財産です。無駄にせず、有効活用することが大切だといえるでしょう。
参考: