コストやリスクをプロフィットに変える、データ管理術のいまを知る

データ分析

企業の保有データは増加の一途をたどり、その方向性は今後も変わりそうにありません。「データの管理」とは、いつでも引き出せるように整理して保存することがそのはじまりでした。近年は、個人情報保護の高まりとサイバー攻撃などの増加から、セキュリティにも力を入れなければならなくなりました。データは、保管するだけでは「コスト」と「リスク」を増大させるものなのです。一方で、データをビジネスへ効果的に活用できるようなデータ管理・運用術もまた注目されています。それでは、どのような管理と運用がその鍵となるのでしょうか。

データ管理の考え方・目的

そもそもデータを残す目的は何でしょうか。一度整理してみましょう。

記録として残す

代表的なのが、企業会計の考え方です。企業の会計帳簿や事業に関する重要な書類は10年、取引を裏付ける帳簿やデータは7年の保存が義務づけられています。取引以前の営業経緯や、その後の問い合わせやアフターサービスでの対応状況も、訴訟問題などが起きたことを考えると記録に残しておくことが望ましいとされます。これらのデータはメール対応、ウェブ対応などコミュニケーションの手段がデジタル化したことで、データとして蓄積される量を一挙に増やしました。データは増える一方であると見て間違いないわけです。

事業継続性、セキュリティ対策

企業の会計、従業員の勤怠管理、そして顧客の購買履歴など、すべてがデータ上にあります。これの一部が破損しただけでも正常な事業の運営に支障を来し、復旧の目途がたたなければ事業を断念せざるをえない場合もあります。そのためのデータのバックアップですが、それらのバックアップ用のデータも含め、改ざんや流出防止などのセキュリティ対策も施さなければなりません。クラウドコンピューティングで外部リソースを活用できたにしても、その量の増大からデータ管理コストの上昇は避けられないでしょう。

データを一元管理するメリット

データ管理の効率化のひとつに管理の一元化がありますが、その効果について見てみましょう。

監視・セキュリティ上の観点

以前は、顧客情報が営業社員それぞれのパソコンで保管されたり、その部署だけでデータ管理を完結させたりすることが当たり前のように行われていました。技術開発情報などもしかりです。このような状態では、会社がコンプライアンスを順守し、事業継続する上で守るべきデータがどこにあるのかも特定できません。守るべきデータとその管理方法を明確にし、責任者が一元管理したほうがより安全であるのは言うまでもありません。

迅速な顧客対応

会社の代表ダイヤルにクレームが入ったとします。売上・営業情報・アフターサービス情報が、それぞればらばらに管理されていたらどうでしょう。関連する三つの部署でデータを照合するなどをしなければならず、その顧客の実像を知るまでに時間を要してしまいます。コールセンターでは受けた電話の顧客情報が、購入・利用履歴から問い合わせの記録に至るまでオペレータの画面に表示されるのが、いまでは当たり前になっています。顧客満足度が向上するだけでなく、従来の代表ダイヤルが受けて各関連部署に照会するような時間と手間がなくなり、コストメリットも大きいわけです。

管理の容易さ

データが一見管理されることで、それぞれを紐づけることができます。ひとつの事象に対して遅れることなくほかの関連データも更新することができるので、データ管理の効率化が図れます。

統合されたデータの積極的な活用

データを一元管理することで、コスト的・保全的にも、そして顧客満足度の点からもメリットが大きいことがわかりました。さらにもうひとつ大きなメリットがあります。

データをプロフィット化する考え方

ビッグデータテクノロジーがデータのあり方を変えました。それまで管理のために蓄積していたデータが、コンピューターの処理能力の向上とAIも含めた高度な解析技術の発達により、データの多層的な分析を可能にしました。さらにIoT(モノのインターネット)の普及で、機械の稼働データから利用者の行動パターンなどを知ることもできます。むしろデータは積極的に収集し、事業のために利用してプロフィットに変えることが主流になってきているのです。

BI(ビジネスインテリジェンス)への活用もポイントに

データのプロフィット化は、営業やサービスの強化にのみ使われるわけではありません。実は企業経営にこそ役立てるべきなのです。それがBI(ビジネスインテリジェンス)です。企業の各部署に蓄積されたデータを、経営判断や戦略立案などに活用するシステムです。

BIは「データの収集や蓄積・統合」「データの分析」「データの可視化」の3つに役割が分けられます。データの一元管理ができていれば、その後の分析やデータの可視化へのステップとなるわけです。これがデータ管理の一番大きなメリットであるデータのプロフィット化としての最終的な目的といえるのです。

例えば、ある商品が売れ方に波があったとします。現場では販売員が経験でこれに対応しますが、勘に頼ったものになりがちです。エクセルやデータベースソフトで集計するにしても、膨大なデータを前に途方に暮れてしまうかもしれません。そのような難しい仕事を処理してくれるのがBIなのです。販売や営業のみならず、人の配置などの人事面、製造や配送、在庫管理、地域戦略などの問題発見や最適化を探る上でも有用な分析ツールになります。

データをコストではなく「宝の山」に変えるには、より能動的に「データ運用」にしていくことがポイントです。その第一歩が、データ管理の一元化であるといえるでしょう。

 

参考:

我が国におけるビッグデータ流通量の推計|総務省

情報セキュリティ10大脅威 2017|独立行政法人情報処理推進機構