「売上分析」目的を理解していますか?改めて解説します。

「売上分析」目的を理解していますか?改めて解説します。

データ分析

売上分析を、毎月・毎日のように実施している会社もあると思います。売上の推移がつかめなければ、事業計画の評価も新しい施策も打てません。その通りではあるのですが、売上、経費、利益、それらの対前年比、対前年同月比、前月比などの数値は企業経営活動の結果ですので、従業員1人当たりにまで細分化して集計してもその値は変わりません。そこで今回は、目標設定や管理のための売上分析ではない、企業経営やビジネス戦略のビジョンを得られ、そして現場業務や意識の改革につながるような売上分析について考えてみたいと思います。

売上分析とは

売上分析というと「毎月、毎日のようにやっている」と回答する経営層の方は多いでしょう。そこで、改めて売上分析について考えてみたいと思います。

売上分析の目的は?

企業の経済活動、ビジネスの結果が売上となって表れます。売上が増えていれば成功しているということです。利益が拡大していれば、商材が優れている上に商品の仕入れや販売のコスト管理は順調、優秀な従業員により効率の良い仕事が進められている証です。売上は、企業の成績表と言い換えられるかもしれません。

そして、売上の推移などから来年や再来年の到達地点を想定し、それを目標とするにも売上分析はなくてはなりません。これらを商品や事業部ごと、そして、個人ごとに細分化すれば、部署や個人別の売上目標の設定ができます。

売上分析の方法

企業の売上は、営業活動の日々の積み上げが受注や販売データとなって経理に集約された結果です。売上計画は、活動の主体である営業部門の各部署や担当者が来月以降の見込みを提示し、それを積み上げたものです。そのどちらも、経理部門や経営企画の担当者が売上分析として集計するのが一般的でしょう。

課題

さて、売上分析の目的・方法を一通り理解したところで、課題が残されていることに気づいたでしょうか。そのひとつは、売上とは"過去の結果"ですので、それに一喜一憂していても何も得られないということです。商品別や個人別にまで売上や利益率を細分化しても、すべて過去のことであり、その背景を理解して手を打たなければ、ただ現象を追っているにすぎません。

そしてもうひとつは、これらの売上データの抽出やそれを集計し、さらに次月以降の計画を立てる作業は、かなりの労力だということです。多くの場合、売り上げ目標は各営業パーソンから売上見込みや新規見込み金額などを提出させ、それらを課・部・事業部で積み上げて算出されます。その結果、「計画不足(売上が足りない/利益見込みが少ない)」が判明すれば、また一から同じ作業の繰り返しです。この作業は「ノンプロフィット(お金を生まない)」な作業であるにも関わらず、毎月のように行われています。

売上分析は誰が何のために行うのか?

売上分析は、会社の経営のために欠かせないものです。しかし、その一方で売上やその推移について無関心な社員もいます。管理職になってはじめて売上や利益の大切さに気づくことが多いというのが一般的ではありますが、それでは少し遅いのかもしれません。

企業業績の現状を全社に理解してもらうために、朝礼や社員ミーティングで、経営者や管理職から売上の推移について公表され、来月以降の目標について発表されることが多いようです。しかし、社員には単なる目標、やるべき数値への根拠程度にしか思われていないかもしれません。残念ながら、売上の数値や集計結果が、モチベーションの向上に結びついているとは言えません。経営層だけが重要性を理解していても、全社の力にはなっていません。

定例の会議や全社ミーティングなどなら、定期的に売上の集計と分析はある程度行われているでしょう。例えば前年の同じ月と比較し、売上の伸びが悪いなどの場合、その現象が起きてから原因を追究するために、商品別や担当者別、さらに地域別などに細かく分けて集計する作業などをしていませんか。

今までの考え方と方法では、売上データが生きていないと理解できたと思います。後手にならないよう、経営戦略の先を見るように売上分析がされないとならないということがポイントです。

売上分析の分散作業化と情報の共有

経営層が売上分析をして、それを社員に下達するスタイルは、時代にそぐわなくなりつつあるのです。

売上分析がモチベーション向上のツールになる

現在の大手企業、そして成長著しい会社や話題に上がるベンチャー企業の特徴のひとつは、製品やサービスの開発について、若い社員が能動的に取り組んでいることではないでしょうか。決して、ノルマや上長の命令で活動しているのではありません。売上データも、自分の仕事の役に立つ、成長に活かせるとなると、見方も違ってきます。自分の会社での位置づけや、やるべきことが理解でき、働く意欲につなげられるともいえます。全社員がそうなってはじめて、売上目標の共有化が図れたことになります。

ビジュアル的にわかりやすく

また、多くの人は、数値表を見ただけで拒否反応を示すのが実情です。その対策としては、とにかくビジュアルに訴えることです。グラフや図版で理解できることで、自分の仕事と売上の関係もよりよく見えてきます。売上高、利益率、対前年比など、その意味するものを頭で理解していても、それを深く知ろうとはしません。なぜなら、自分にとってどう活かすかがわからないからです。ビジュアル化することで理解が深まれば、興味も湧いてくるはずです。

売上分析を問題解決に

課題や問題が多い職場は、社員の士気が低下します。その部署の責任者は毎日頭を悩まし、経営陣から事業部の売上データを渡されても、単なる「悪い通信簿」としか捉えられないでしょう。

しかし、数値を自分で分析することで課題や問題の解決になることが発見できれば、その状況は大きく変わるかもしれません。現場のことは現場の人が一番知っています。その人たちに現場の売上や利益の分析を任せたほうが、より深く、そして実践的な分析ができることになります。それが業務改善や事業の限界を超えることにつながるのが理想的です。

売上は全社員で分析するのがひとつの方法

もちろん、機密情報もあるのですべての社員がすべての売上データを手元で分析できるとは限りません。しかし、自分の課題を見つけたい営業マンが分析に力を入れて、それなりの発見をするかもしれません。重要なことは「誰でもが理解できる操作方法、ビジュアルなどデータの見せ方」ということになるわけです。

 

参考:

 ・ 【データ分析と競争優位性】なぜ、思いつきや勘だけで経営してしまうのか?|DIAMOND online

 ・  営業データ分析の進め方|マイクロソフト